2019年3月24日(日)まで、熊谷恒子記念館(大田区南馬込)で、大森アートフェスタ2019協賛イベント「刺繍とかなの調和」が開催されています。

熊谷恒子は、昭和期に現代かな書家として書壇の第一線で活躍した人物です。恒子の書には、気品のある美しさが感じられます。恒子は、かなについて「女性の手によって作られたといふ事は何 としても我々女性として誇を感ずる次第ではあるまいか。」と主張しており、女性としてかなの品位を重んじていたことがわかります。恒子は女性の書や文学への関心が高く、清少納言や紫式部、大田垣蓮月など文学界で活躍した女性作家の作品を題材にした書を多く残しています。

2018年12月22日(土)から2019年4月14日(日)まで開催される「平成30年度 大田区立熊谷恒子記念館 かなの美展 『優美の調和 女性とかな』」では、、平安時代中期に清少納言により執筆されたと伝わる『枕草子』の《秋はゆふぐれ》(1935年)や、光源氏を主人公に平安時代の貴族社会を描いた『源氏物語』の《すまには》(1964年)、夫と死別した後に尼となり和歌と陶芸を学んだ京都出身の大田垣蓮月の和歌など、約二十点の作品が展示されています。昭和を代表する孤高な書家となった恒子は、平安朝のかなを基盤に高貴な作風を確立。『枕草子』の《月のいとあかき》(1979年)は、八十代半ばを迎えながらも、まっすぐ筆を立てた筆法で表現された線が、大画面の中で凜とした印象を与えます。清少納言や紫式部といった女性の活躍が、かなを発展させる上において一つの原動力となったと考えられています。平安古筆の習熟に努め、現代のかなに調和した恒子の優美な書が紹介されています。

本展示の期間中、現在開催中の大森アートフェスタ2019協賛イベントとして、「刺繍とかなの調和」が開催されています。日本刺繍の伝統技法を、新たな表現技法として研究し、発表する大田区在住の刺繍作家、宗眞理子の作品をお楽しみください。3月23日(土)13時から、ギャラリートーク&庭園案内(事前申込不要)が行われますので、ぜひお足運びください!

平成30年度 大田区立熊谷恒子記念館 かなの美展 「優美の調和 女性とかな」
大森アートフェスタ2019協賛イベント「刺繍とかなの調和」

■「平成30年度 大田区立熊谷恒子記念館 かなの美展」会期

2018年12月22日(土)から2019年4月14日(日)まで

■新春特別企画「刺繍とかなの調和」 展示期間

2019年3月5日(火)から3月25日(日)まで

■開館時間

9:00~16:30 (入館は 16:00 まで)

■休館

月曜休館
なお、12月24日(月・休)、2019年1月14日(月・祝)、2月11日(月・祝)は開館し
12月25日(火)、2019年1月15日(火)、2月12日(火)に休館

■入館料

大人100円、小人50円
※65 歳以上(要証明)と 6 歳未満は無料

■会場

大田区立熊谷恒子記念館(大田区南馬込4-5-15)

■アクセス

○JR京浜東北線 大森駅西口(山王方面)から東急バス 4 番「荏原町駅入口」行乗車「万福寺前」下車、徒歩5分
○都営地下鉄浅草線 西馬込駅南口から徒歩10分