新型コロナウイルスの感染拡大防止のため休館だった「大森 海苔のふるさと館」が6月1日(月)からオープンしました。それに合わせて、延期となっていた企画展「大田の船模型 海苔と漁業の思い出をのせて」も開催。今回は本企画展をご紹介します。

■船大工たちが作った海苔船の模型

 大田の海苔生産者が漁業権を放棄し、最後の海苔採りをした1963(昭和38)年春。それ以降、海苔船を作っていた船大工や手先の器用な人々が、船の存在を伝えるために船模型を製作してきました。大田区では、海苔の船のほか大田で使われていたさまざまな船の模型を収集し、保管してきました。 そこで、これらの船模型を展示し、それぞれの船の役割や在りし日の姿を写真でたどるというのが、今回の企画展です。
海苔船 松原留蔵氏制作

■海苔船はこうして誕生した

 明治中期までは、大森で船といえば海苔採りのベカブネぐらいでした。しかし、大正時代になると、養殖技術の向上に伴い、竹ヒビを載せて千葉県沿岸の種付け場を往復するための大型の船が必要になりました。そこで、まず中古の手繰船(打瀬船)や砂利船(荷足船)が代用として使われ始め、やがて専用の海苔船が誕生しました。戦後になると、漁場の拡大や生産技術の向上に伴い、各家で海苔船を所有するようになりました。人数分のベカブネを載せた海苔船で沖合の漁場を往復し、漁場ではベカブネに乗って海苔を採りました。

■大森のノリ養殖の歴史・文化の発信拠点

 大森 海苔のふるさと館は、ふるさとの浜辺公園に隣接する形で、2008(平成20)年4月に開館し、2018(平成30)年4月に開館10周年を迎えました。2019(令和1)年9月には、開館以来の来館者数が100万人に達しました。ふるさと館では、海苔養殖用具の保存・展示や海苔に関する体験イベントを通じて、江戸時代から昭和38年春までの約300年にわたって行われた海苔養殖の歴史・文化の継承活動や、海苔やふるさとの浜辺公園に関する情報発信を行っています。
 いかがでしたか?船大工など当時の海苔養殖業に携わった方々がどんな思いでこれらの海苔船の模型を作られたか?そんなことも思い馳せながら、ご覧になられるのもいいかもしれませんね。ぜひふるってお足運びください。

●企画展名

 企画展「大田の船模型 海苔と漁業の思い出をのせて」

●開催期間

 2020(令和2)年6月1日(月)から8月16日(日)

●開催時間

 午前9時~午後5時

●休館日

 第3月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3)

●会 場

 大森 海苔のふるさと館 2 階企画展コーナー

●観覧料

 無料

●展示資料

 船模型7点、古写真12点

●大森海苔のふるさと館までのアクセス

 ・京急「平和島」駅から徒歩約15分(駅に地図があります)
・JR「大森駅」から平和島循環バスで「平和島五丁目」下車徒歩約3分
(バスの運行数が少ないのでご注意ください)
・東京モノレール「流通センター」駅から徒歩約15分
・お車でお越しの場合は、「大森ふるさとの浜辺公園」駐車場をご利用ください。

●問合せ先

 大森海苔のふるさと館
〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2番2号
電話:03-5471-0333 FAX:03-5471-0347