現在、大森海苔のふるさと館では企画展「一枚の海苔簀(のりす)ができるまで-海苔づくりを支えた道具たち-」が開催中。
 今回は本企画展をご紹介します。

■海苔の良し悪しが決まった海苔簀

 大田区で海苔生産をしていたころは生産者自らが道具の多くを手作りしていました。そのうちの一つが海苔簀で、海苔を付けて乾燥させるための簀のことです。一日 4~5,000枚の乾海苔を生産する家であれば、10,000 枚以上は保有していました。更に海苔簀は毎年三分の一ずつ新調したのです。良質の海苔を作るには、材料であるヨシ刈り、揃える作業、ヨシ干し、葉落とし、選別の作業などがあり、初夏から晩秋まで続きました。
 海の作業が始まる晩秋まで、毎日家族全員で夜なべをして数千枚の海苔簀を編みました。

■一枚の海苔簀ができるまで

 今回の企画展では、海苔の良し悪しを支えていた海苔簀に焦点を当て、材料のヨシの調達から一枚の海苔簀ができるまでが紹介されています。簀(す)編み台、オシギリ、海苔簀編み用の糸、簀編み機カタログ、日本全国の海苔簀の道具、古写真や現代の写真に加えて、大森海苔のふるさと館で毎年行われている体験「海苔簀づくり」の準備作業もご覧になれます。

■海苔簀がモチーフとなった海苔養殖業発祥の地・記念碑

 今年3月、海苔の文化や歴史を後世に伝える記念碑が、大森本場乾海苔問屋協同組合によって、大森駅東口駅前広場に建てられました。強化ガラスで作られたこの記念碑、デザインのモチーフになったのは海苔簾に付けた海苔を天日干しする様です。
 大田区の海辺で生産された海苔は、質・量ともに長らく全国に誇り、「本場乾海苔(ほんばほしのり)」と称賛されてきました。東京湾の港湾整備により、前回の東京オリンピックの前年1963(昭和38)年春を最後に、約400年以上にわたる大森の海苔養殖業の歴史に幕が閉じましたが、今も大森界隈には加工業者や海苔問屋が数多く残ってます。
 大森海苔のふるさと館へ向かうバスの発着場となっている大森駅東口駅前広場で、この記念碑をご覧になられるのもお勧めです。
 いかがでしたか?家族総出で編まれた海苔簀には、海苔漁師の思いが込められていますね。ぜひ奮ってお足運びください!

企画展「一枚の海苔簀(のりす)ができるまで-海苔づくりを支えた道具たち-」

●開催期間

 2020(令和2)年8月18日(火)~11月15日(日)

●開催時間

 午前9時~午後5時(8月は午後7時まで)

●休館日

 9月23日(水)、10月19日(月)

●会場

 大森 海苔のふるさと館 2 階企画展コーナー

●観覧料

 無料

●大森海苔のふるさと館までのアクセス

 ・京急「平和島」駅から徒歩約15分(駅に地図があります)
 ・JR「大森駅」から平和島循環バスで「平和島五丁目」下車徒歩約3分
  (バスの運行数が少ないのでご注意ください)
 ・東京モノレール「流通センター」駅から徒歩約15分
 ・お車でお越しの場合は、「大森ふるさとの浜辺公園」駐車場をご利用ください。

●問合せ先

 大森海苔のふるさと館
 〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2番2号
 電話:03-5471-0333 FAX:03-5471-0347