現在、大森 海苔のふるさと館では写真展「竹ヒビで海苔を採っていたあの頃 -海苔網以前の海苔養殖-」が開催されています。今回は本写真展をご紹介します。

■竹ヒビで海苔を採っていた。

 ヒビとは、海の浅瀬に建てる粗朶木(そだぎ)のことです。大田区沿岸の海苔養殖では、江戸時代中期にヒビ に海苔の胞子をつけて育てるという技術が確立することで始まりました。大正中ごろからは 竹を使った竹ヒビが使われ始め、昭和 20 年以降に海苔網が主流になるまで続きました。当初は木ヒビが使われていましたが、明治半ばから急速に漁場が沖合へと広がるにつれ、丈の長いヒビが必要となり、木ヒビから竹ヒビが使われるようになりました。竹ヒビは、真竹に竹の枝を継ぎ足して 5~6 メートル の深い漁場に建てることができました。また、木ヒビは 1 年しか持ちませんが、竹ヒビは修 理をすれば 2~3 年と木ヒビよりも長く使うことができました。

■海苔網以前の竹ヒビでの海苔養殖

 今回の写真展では、竹ヒビを使っていた主に昭和 10 年ごろの海苔養殖の写真を中心に展 示されています。竹ヒビによる海苔養殖は、 夏に竹を加工するヒビこさえから始まり、秋のヒビ建てを経て、ようやく冬の海苔採りになりましたので、一連の作業風景の写真が展示されています。加えて、現在、大森ふるさとの浜辺公園で行われているヒビ建ての様子の写真も展示されています。

■海苔簀がモチーフとなった海苔養殖業発祥の地・記念碑

 2020(令和2)年3月、海苔の文化や歴史を後世に伝える記念碑が、大森本場乾海苔問屋協同組合によって、大森駅東口駅前広場に建てられました。強化ガラスで作られたこの記念碑、デザインのモチーフになったのは海苔簀に付けた海苔を天日干しする様です。大田区の海辺で生産された海苔は、質・量ともに長らく全国に誇り、「本場乾海苔(ほんばほしのり)」と称賛されてきました。東京湾の港湾整備により、前回の東京オリンピックの前年1963(昭和38)年春を最後に、約400年以上にわたる大森の海苔養殖業の歴史に幕が閉じましたが、今も大森界隈には加工業者や海苔問屋が数多く残っています。大森 海苔のふるさと館へ向かうバスの発着場となっている大森駅東口駅前広場で、この記念碑をご覧になられるのもお勧めです。

 

 いかがでしたか?今では見ることができなくなった、海苔網以前の竹ヒビでの海苔養殖をぜひご覧ください。

 企画展「竹ヒビで海苔を採っていたあの頃 -海苔網以前の海苔養殖-」

  • 開催期間

 2020(令和 2) 年11月17日(火)~2021(令和 3) 年 4 月18日(日)

  • 開催時間

 午前9時~午後5時

  • 休館日

 第三月曜日、年末年始(12 月 29 日~1 月 3 日)

  • 会場

 大森 海苔のふるさと館 2 階企画展コーナー

  • 観覧料

 無料

  • 大森海苔のふるさと館までのアクセス

 ・京急「平和島」駅から徒歩約15分(駅に地図があります)

 ・JR「大森駅」から平和島循環バスで「平和島五丁目」下車徒歩約3分

  (バスの運行数が少ないのでご注意ください)

 ・東京モノレール「流通センター」駅から徒歩約15分

 ・お車でお越しの場合は、「大森ふるさとの浜辺公園」駐車場をご利用ください。

  • 問合せ先

 大森海苔のふるさと館

 〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2番2号

 電話:03-5471-0333 FAX:03-5471-0347